2026.10.29
秘密厳守とは、相談前に確かめたい4点と法的根拠

和歌山市堀止の日蓮宗寺院、覚王山 妙宣寺です。人生相談をお受けしていると、本題に入る前に「ここで話したことは、外に漏れませんか」と確かめられる方が少なくありません。誰にも言えないからこそ相談したい。けれども、知らない相手に話すのは怖い。その両方を抱えたまま、電話をかけるかどうか迷っている方は多いのだと思います。
「秘密厳守」という言葉は、相談窓口の案内でよく見かけます。ただ、この四文字が実際に何を約束しているのかは、書かれている場所によってかなり幅があります。ここでは、その言葉の中身をほどいて、相談する前にご自分で確かめられることを整理します。
「秘密厳守」は何を約束している言葉か
秘密厳守と書かれていても、それだけでは「誰に」「何を」「いつまで」漏らさないのかは分かりません。同じ言葉でも、次のように中身が違うことがあります。
- 相談の内容を、相談を受けた本人以外の誰にも話さない
- 内容は組織内で共有するが、組織の外には出さない(事例検討や引き継ぎのため)
- 氏名や住所などの個人が分かる情報を伏せたうえで、内容は記録に残す
- 記録そのものを残さない
どれも嘘ではありません。けれども、たとえば「家族に知られたくない」という方にとって一番大事なのは、組織内で共有されるかどうかではなく、自宅に連絡が行くかどうかです。確かめるべき点は、相談する方ごとに違います。
相談の前に確かめておきたい4つの点

電話やメールで予約をするとき、本題を話す前にこの4点を尋ねておくと、安心して話せる範囲がはっきりします。尋ねること自体を失礼だと思う必要はありません。
1. 誰が同席するか
相談を受ける人が一人なのか、記録係や研修中の方が同席するのか。同席者がいる場合、その方にも同じ守秘の取り決めが及ぶのか。お寺や個人で受けている相談では一対一のことが多く、組織の窓口では複数名が関わることがあります。
2. 記録が残るか、残るなら誰が見られるか
相談の記録は、継続して相談を受けるためには役に立ちます。一方で、記録が残れば保管と閲覧の範囲が生じます。「記録を取りますか」「取るとしたら誰が見ますか」と尋ねておくとよいでしょう。記録を残さない相談先もあります。
3. 自宅や職場への連絡があるか
折り返しの電話、案内の郵便物、アンケートの送付。本人は秘密のつもりでも、封筒の差出人で周囲に知られてしまうことがあります。「連絡は自分の携帯だけにしてほしい」「郵送はしないでほしい」と先に伝えておけば、たいていは対応してもらえます。
4. 本人の同意なく外に出る場合があるか
後述しますが、秘密が守られない場面は法律で定められています。どういう場合に例外となるのか、その窓口の考え方を先に聞いておくと、話す範囲を自分で決める材料になります。
相談先ごとの、秘密が守られる法律上の根拠

「秘密厳守」が単なる心がけなのか、法律の裏づけがあるのかは、相談先によって違います。主なものを整理します。
| 相談先 | 主な法律上の根拠 |
|---|---|
| 自治体の相談窓口など公務員 | 地方公務員法第34条(秘密を守る義務)。国家公務員は国家公務員法第100条 |
| 弁護士 | 弁護士法第23条(職務上知り得た秘密を保持する権利と義務) |
| 医師・薬剤師・助産師など | 刑法第134条第1項(秘密漏示罪)。正当な理由なく業務上知り得た人の秘密を漏らしたときの罰則 |
| 宗教の職にある者 | 刑事訴訟法第149条、民事訴訟法第197条第1項第2号(証言拒絶権) |
宗教者について補足します。刑事訴訟法第149条は、医師・弁護士・公証人などと並べて「宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、証言を拒むことができる」と定めています。民事訴訟法第197条第1項第2号も同じく、「宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者」が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて、証言を拒むことができるとしています。
法廷という最も強い場面でさえ口を開かなくてよいとの法律に則り、僧侶のかたは守秘義務遵守の精神で日々の寺院運営をされています。しかし法律上ではありませんので、相談先の姿勢を自分で確かめる必要があります。
秘密が守られないことがある場面
どの相談先であっても、例外はあります。あらかじめ知っておくと、話すかどうかをご自分で選べます。
- 本人が同意したとき。別の機関につなぐ、家族に同席してもらうなど、本人の了解があれば情報は共有されます。
- 児童虐待が疑われるとき。児童虐待の防止等に関する法律第6条は、虐待を受けたと思われる児童を発見した者に通告の義務を定めており、同条第3項で、守秘義務に関する規定は通告を妨げるものと解してはならないとしています。
- 生命に関わる差し迫った危険があるとき。ご本人や周囲の方の命が危ういと判断される場合、救急や警察への連絡が優先されます。
- 裁判所から文書の提出を命じられたときなど、法令に基づく場合。
逆に言えば、これ以外の理由で外に出ることは想定されていません。「近所の人に伝わるのでは」「勤め先に知られるのでは」という心配は、相談先に確認したうえで切り分けていただけます。
話す範囲は、ご自分で決めてかまいません
相談の場で、すべてを話す義務はありません。名前を伏せたまま話し始める、事実関係だけ先に話す、言いづらい部分は後日にする。どれも差し支えありません。相談を受ける側は、足りない情報があればその場で尋ねますし、尋ねられて答えたくなければ「それは今は話したくありません」と言っていただいてかまいません。
話す前に、紙に三行だけ書いてみる方法もあります。「今いちばん困っていること」「いつから続いているか」「どうなればましになると思うか」。この三つがあると、限られた時間でも話が前に進みやすくなります(書けないときは、書けないまま来ていただいて結構です)。
内容によっては、相談先を分けたほうがよい場合があります
次のような内容は、専門の窓口があります。
- 体や心の不調、眠れない、食べられない、気力が湧かないといった状態が続くときは、まず医療機関にご相談ください。
- お金や相続、離婚、借金などの法律問題。弁護士会や法テラスの相談窓口があります。
- 生活費や住まい、介護、子育ての困りごと。お住まいの市町村の福祉窓口や地域包括支援センターが窓口です。
そのうえで、「改善しない」「不安がある」「どうしたら良いのか分からない」ときはお寺に相談しましょう。
当山の人生相談での扱い
当山の人生相談は、住職の蘆田恵教が直接お受けします。担当が替わることはなく、相談員が複数で担当する形も取っていません。内容の秘密は厳守します。
相談は予約制で、お時間は1時間ほどのことが多くなっています。受付は7時から18時までで、電話かお問い合わせフォームからお申し込みいただけます。住職が他の勤めに出ていることがありますので、お越しになる前に一度お電話をいただけますと確実です。
費用は金額を定めておりません。「御礼」「お布施」として御宝前にお供えいただく形です。いくらが妥当か分からず気になるという方は、ご予約のときに遠慮なくお尋ねください。宗旨・宗派・国籍は問いません。日蓮宗の寺院ですが、他宗派の方も、信仰をお持ちでない方もご相談いただけます。これは人生相談に限らず、永代供養・水子供養・ご祈願にも共通しています。
場所は和歌山市新堀東、和歌山バス「堀止」から東へ徒歩約5分です。駐車場は25台、バリアフリーに配慮しているため車椅子でもお越しいただけます。道順は和歌山のお寺へバスでの行き方|初めての方への堀止下車後の道順にまとめています。費用の考え方や見学の流れについては和歌山の寺へ初めて相談する前に、費用の内訳と見学の流れもあわせてご覧ください。
相談する前の、もう一つの確かめ方
秘密が守られるかどうかは、制度の説明だけでは測りきれない部分があります。予約の電話をかけたとき、こちらの質問にどう答えるか。嫌がらずに答えるか、曖昧にはぐらかすか。そこで感じたことは、判断の材料にしてよいものです。
電話口で「相談するかどうかはまだ決めていないのですが」と前置きして、記録の扱いや同席者のことだけ尋ねて切る。それも立派な一歩です。話すと決めるまでに時間がかかってかまいませんし、決めないという選択もあります。
秘密厳守と書かれていれば、家族に知られずに相談できますか。
お寺で相談した内容が外に漏れることはありませんか。
名前を言わずに相談することはできますか。
相談にはどのくらい時間と費用がかかりますか。
宗派が違っても、信仰がなくても相談できますか。
ご相談・ご予約
ご相談・ご見学は、お電話(073-422-7968/受付 7:00〜18:00)またはフォームからお受けしています。住職 蘆田恵教が直接お受けします。
ご不明な点は、そのままお尋ねください。無理におすすめすることはありません。