2026.10.05

身寄りがない方が亡くなったあと|手続きの流れと納骨先の基準

「身寄りがない」と調べる方が、ほんとうに気にかけていること

「身寄りがない」という言葉で調べる方のご事情は、ひとつではありません。生涯おひとりで過ごしてこられた方、配偶者を見送って子どもがいない方、きょうだいはいても遠方で何十年も行き来がない方、親族はいるけれど迷惑をかけたくないと考えている方。法律上の親族がまったくいない方もいれば、戸籍の上ではいても実際には頼れない方もいらっしゃいます。

そして、その先で気になっているのは、たいてい次の三つに整理できます。「自分が亡くなったとき、誰が火葬をしてくれるのか」「遺骨はどこへ行くのか」「元気なうちに、何を決めておけるのか」。当山(覚王山 妙宣寺/和歌山市新堀東)にも、ご本人から直接このご相談をいただくことがあります。この記事では、まず制度の上で何が起きるかを確かめ、そのうえで生前に手を打てる部分を順に見ていきます。

身寄りがない方が亡くなったあと、制度の上で何が起きるか

身寄りがない方が亡くなったあとの火葬と遺骨の流れ、生前に納骨先を決めた場合との対比図

火葬は市町村長が行うことになっている

「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年法律第48号)第9条第1項には、死体の埋葬または火葬を行う者がないとき、または判明しないときは、その死亡地の市町村長がこれを行わなければならない、と定められています。つまり、どなたも引き取る方がいない場合でも、ご遺体がそのままになることはありません。費用は同条第2項により「行旅病人及行旅死亡人取扱法」の規定が準用され、最終的にはご本人の遺留金品や相続財産から充てられ、不足分は自治体が負担する扱いになります。

また、親族がいても経済的に葬儀を行えない場合には、生活保護法第18条の葬祭扶助という仕組みがあります。いずれにしても、火葬までは公的な仕組みが用意されている、ということです。

遺骨の行き先は「自分では選べない」形になりやすい

問題はそのあとです。引き取り手のないご遺骨は、自治体が一定の期間保管したのち、無縁塚や合葬のお墓などに納められます。保管の期間も納める場所も自治体によって異なり、ご本人の希望が反映される余地はほとんどありません。菩提寺に入りたかった、郷里に近い場所がよかった、誰かに手を合わせてほしかった——そうしたお気持ちは、何も残していなければ伝わらないまま終わってしまいます。

財産は相続財産清算人を経て、最終的に国庫へ

相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とされ、家庭裁判所が利害関係人などの請求により相続財産清算人を選任します(民法第951条・第952条。令和5年4月施行の改正で「相続財産管理人」から名称が変わりました)。清算を経てなお残った財産は、特別縁故者への分与の制度を経たうえで、最終的に国庫に帰属します(民法第959条)。

ここで知っておきたいのは、この手続きは誰かが家庭裁判所に申し立てなければ始まらない、という点です。身寄りがない方の場合、申し立てる人がおらず、長く手つかずになることもあります。

元気なうちに決めておける四つのこと

身寄りがない方が生前に決めておける四つの備えと、その関係を示した図

制度に任せきりにせず、ご自身で決めておける部分は次の四つに整理できます。すべてを一度に整える必要はありません。気になるところから、順に手をつけていくやり方で構いません。

決めること 手段 誰に相談するか
亡くなったあとの連絡・葬儀・納骨・役所の手続き 死後事務委任契約 司法書士・行政書士・弁護士など
財産の行き先 遺言書(公正証書遺言など) 公証役場・弁護士など
判断能力が落ちたあとの財産管理と暮らしの手配 任意後見契約(任意後見契約に関する法律に基づく公正証書) 公証役場・専門職の後見人など
遺骨を納める場所 永代供養・納骨壇などの生前申し込み 寺院・納骨施設

死後事務委任契約は「やってくれる人を決める」契約

遺言書で指定できるのは、主に財産の行き先です。葬儀をどうするか、遺骨を誰がどこへ運ぶか、部屋の片付けや各種の解約を誰がするかは、遺言書だけではまかないきれません。そこで、生前にご自身で、これらの事務を頼む相手と内容を契約で決めておくのが死後事務委任契約です。専門職に依頼する場合は、報酬や実費の預け方、契約を結んだことを誰に知らせておくかまで、あわせて確かめておくとよいでしょう。

納骨先は、生前に自分の目で見て決められる

遺骨の行き先だけは、場所を決め、申し込みを済ませておけば、ご本人の希望がそのまま形になります。身寄りがない方にとっては、四つのうちでもっとも結果が見えやすい備えです。そして、納骨先を決めてあれば、死後事務委任契約のなかで「どこへ納めるか」を具体的に書けるようになります。順序としては、納骨先を先に決めておくと、その後の話が進めやすくなります。

後継者がいないことを前提に、納骨先を見るときの基準

お墓や納骨施設を比べるときは、次の点を一つずつ確かめてみてください。事業者の一覧を作るのではなく、ご自身で質問する項目として持っておくほうが確実です。

  • 承継者を求められないか。お墓を引き継ぐ方を届け出る必要がある形式だと、身寄りのない方は申し込みの段階でつまずきます。
  • 供養内容の確認。どんな供養のお勤めをしてもらえるのか。ご遺骨はいつ合祀(ごうし。他の方のご遺骨とともに一つの場所へ納めること)になるのかを確かめます。
  • 申し込みのあとに続く費用があるか。年会費・管理費・寄付の有無を、最初に総額で確かめます。
  • 生前に本人が契約できるか。ご本人名義で申し込めるか、申し込み時に保証人や親族の署名を求められないかを確かめます。
  • 納めたあと、誰が供養を続けるのか。納骨して終わりではなく、その後どなたが手を合わせてくれるのかを尋ねておきます。
  • お参りのしやすさ。交通手段、駐車場、段差の有無。ご自身が通ううちは、ここがいちばん効いてきます。

費用の見方については、永代供養の相場の感覚、初めて調べる方へ4つの内訳で内訳の分け方を書いています。あわせて、お一人で終活を進める手順はおひとりさまの終活と供養|頼る人がいないときに決める4つをご覧ください。

当山でお受けしているご供養と、その費用

当山は和歌山市新堀東にある日蓮宗の寺院で、寛永年間の創立と伝えられています。永代供養とのうこつぼをお受けしております。宗旨・宗派・国籍は問わず、檀家にならなくてもお申し込みいただけます。生前のご相談・ご契約もお受けしています。

区分 内容 お納めいただく額
永代供養 毎月の命日のご供養とお彼岸・お盆のご供養が付いております。お骨は10年間は個別に安置し、その後合祀します。 15万円
永代供養(年忌供養付き) その年数まで個別に安置し、お彼岸とお盆の施餓鬼供養(せがきくよう。広くご霊位にお供えをする法要)、ご命日と各年忌のご供養が付きます 17年 23万円/33年 33万円/50年 50万円
合祀供養 すぐに合祀し、過去帳(お名前と没年月日を記す帳面)に記してご供養します 5万円
のうこつぼ 永代供養が付いた集合型の納骨墓。墓石を建てる必要がなく、お手入れもいりません 一室 50万円から(管理費(護寺会費)年3,000円)

のうこつぼの管理費(護寺会費)(年3,000円)を除き、お申し込みのあとに年会費・寄付金・管理費はいただきません。のうこつぼはお骨の大きさや数に制限がなく、一室の額はお一人でもご家族でも同じです。血縁を問わないため、ご友人同士でも、おひとりさま同士でも、ペットとご一緒にでもお納めいただけます。利用する期間はご自身で決められ、そのあとは永代供養塔で当山がご供養を続けます。

納めたお骨には月命日にお読経をあげ、日々のご回向(えこう。読経の功徳を故人に差し向けること)を欠かしません。納骨堂に安置している間のご遺骨は、それぞれの年数が終わるまで返還できます。埋葬後の返還はできませんので、この点だけは申し込みの前に確かめておいてください。

お参りと見学について

お参りの時間は制限しておりません。お花・お菓子・飲み物など、お好きなものをお供えいただけます。バリアフリーに配慮しており、車椅子でもお参りいただけます。和歌山バス「堀止」停留所から東へ徒歩約5分、駐車場は25台ございます。

ご相談・見学は受付7:00〜18:00にお電話(073-422-7968)かフォームでお申し込みください。住職が他の勤めに出ていることがありますので、お越しになる前に一度お電話をいただけますと確実です。見学で確かめたい点は和歌山のお寺で見学予約、初めての人が確かめたい5点にまとめています。

相談相手が見つからないときに

四つの備えのうち、死後事務委任契約や任意後見契約は、専門職にお願いする必要があります。どこから手をつけてよいか分からない、そもそも誰に話せばよいのか分からない、というところで止まってしまう方は少なくありません。

当山では住職が直接お受けする人生相談を行っています。金額は定めておらず、「御礼」「お布施」として御宝前にお供えいただく形です。お時間は1時間ほどのことが多く、秘密は厳守いたします。ご供養のお申し込みを前提としたものではありませんので、気がかりを言葉にする場としてお使いいただいても構いません。ご予約が必要ですので、受付時間内にお電話ください。

まとめ

身寄りがなくても、火葬までは法律で市町村長が行うと定められています。けれど、そのあとご遺骨がどこへ行くかは、何も残していなければご自身では選べません。選べるようにする方法が、死後事務委任契約・遺言書・任意後見契約、そして納骨先の生前の申し込みです。このうち納骨先は、一度決めてしまえば結果がはっきりと残り、ほかの三つを考えるときの土台にもなります。急いで決める必要はありませんので、まずは見学して、承継者の要否と総額、そのあとのご供養を誰が続けるのかを尋ねるところから始めてみてください。

身寄りがない人が亡くなったとき、誰が火葬をするのですか。
墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第9条第1項で、死体の埋葬または火葬を行う者がないとき、または判明しないときは、その死亡地の市町村長が行わなければならないと定められています。費用は同条第2項により行旅病人及行旅死亡人取扱法の規定が準用され、ご本人の遺留金品や相続財産から充てられ、不足分は自治体の負担になります。ただし、その後のご遺骨の納め先はご本人では選べず、自治体が一定期間保管したのち無縁塚などに納められます。
親族がいなくても、生前に自分で納骨先を申し込めますか。
覚王山 妙宣寺(和歌山市新堀東2丁目1番8号)では、永代供養・のうこつぼとも、生前のご相談とご契約をお受けしています。宗旨・宗派・国籍は問わず、檀家になる必要もありません。ご予約のうえ、受付7:00〜18:00にお電話(073-422-7968)かフォームでお申し込みください。住職が他の勤めに出ていることがありますので、お越しの前に一度お電話をいただけますと確実です。
永代供養を申し込んだあと、年会費や管理費はかかりますか。
覚王山 妙宣寺では、のうこつぼの管理費(護寺会費)(年3,000円)を除き、お申し込みのあとに年会費・寄付金・管理費はいただいておりません。合祀供養は5万円、10年間個別に安置する永代供養は15万円、年忌供養付きは17年23万円・33年33万円・50年50万円、のうこつぼは一室50万円からです。供養塔へのお名前の刻銘は1枚3万円です。
家族ではない友人と一緒に納骨することはできますか。
覚王山 妙宣寺ののうこつぼは血縁を問いません。ご友人同士でも、おひとりさま同士でも、ペットとご一緒でもお納めいただけます。お骨の大きさや数に制限はなく、一室の額はお一人でもご家族でも同じです。利用する期間はご自身で決めていただき、そのあとは永代供養塔で当山がご供養を続けます。
身寄りがない人の財産は、最後はどうなるのですか。
相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とされ、家庭裁判所が利害関係人などの請求により相続財産清算人を選任します(民法第951条・第952条。令和5年4月施行の改正で「相続財産管理人」から名称が変わりました)。清算と特別縁故者への分与を経てなお残った財産は、国庫に帰属します(民法第959条)。この手続きは誰かが家庭裁判所へ申し立てて初めて始まるため、財産の行き先に希望がある場合は、生前に遺言書を残しておく必要があります。

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