2026.09.19

虫封じとは|夜泣きが続く赤ちゃん、受ける時期と持ち物

赤ちゃんが夜になると激しく泣く、日中も機嫌が直らない、歯を立てたり物を投げたりする ── そうした様子が続くと、ご両親やおじいさま・おばあさまのお心もすり減っていきます。そんなときに古くから頼られてきたお寺のお勤めが「虫封じ(虫切)」です。ここでは、虫封じがどのようなご祈祷なのか、いつ受けるものとされてきたのか、当日は何を持っていけばよいのか、お供えはどう納めるのかを、順を追ってご案内します。

虫封じ(虫切)とはどんなご祈祷ですか

虫封じでお寺が行うことと行わないことを整理した図

虫封じは、赤ちゃんや小さなお子さんの夜泣き、ひどい泣き、かみつきや引っかきといった、昔から「かんの虫」と呼ばれてきた様子について、治まりますようにとお祈りするご祈祷です。地域によって「虫切(むしきり)」「虫きり祈祷」とも呼ばれ、呼び方が違っても願う内容はおおむね同じです。

名前に「封じる」という強い言葉が入っていますが、これは何かを力でねじ伏せるという意味ではありません。お寺でお経をあげ、そのお子さんが健やかに育ちますように、苦しみが軽くなりますようにと仏さまにお祈りする ── その願いの形が「封じる」という古い言い方で伝わってきたものです。真心を込めて虫封じのご祈祷を受けていただくことによって、み仏さまの大いなるお力をいただけます。祈りと日々の生活を大切にすることによって、み仏さまのご加護の中でお子さまが少しずつ穏やかになり、健やかな方向へと導かれていきます。どうぞ焦らず、心配しすぎることなくお子様を見守ってあげてください。

「かんの虫」とは何を指す言葉だったのか

昔は、子どもが理由もなく泣き続けたり、急に機嫌を崩したりする理由が分かりませんでした。そこで「体の中に虫がいて、それが騒いでいるのだ」と考え、その虫を鎮めてもらうためにお寺や神社へ参ったのです。子どもの邪気や魔を払い、健やかに成長させてもらえるように虫封じをしてもらいましょう。

虫封じはいつ受けるとよいのでしょうか

虫封じに、「この月齢でなければならない」という決まりはありません。夜泣きやかんしゃくが気になり始めたときが、そのご家庭にとっての時期です。実際には、次のような節目に合わせてお参りされる方がいらっしゃいます。

  • 夜泣きが続き、ご家族の睡眠も削られてきたとき
  • お宮参りや初節句など、お子さんの成長の節目にあわせて
  • 兄姉のときに受けたので、下のお子さんも同じようにしておきたいとき
  • ご祖父母から「虫封じをしてもらったら」と勧められたとき

日取りについては、六曜(大安・仏滅など)を気にされる方がいらっしゃいますが、仏さまへのお祈りは六曜とは別のものです。それよりも、お子さんの体調が良く、ご家族が落ち着いて参れる日を選ぶほうが理にかなっています。長い移動やお昼寝の時間とぶつかる時間帯は、お子さんの負担になりやすいので避けておくとよいでしょう。

当日の流れと持ち物

虫封じ当日の流れと持ち物を示した図

お寺ごとに作法は異なりますが、個別にお勤めするご祈祷は、おおよそ次のように進みます。

  1. あらかじめ電話などで日時を相談し、当日は受付で名前を伝える
  2. お子さんのお名前・生年月日など、お祈りに必要なことをお伝えする
  3. 本堂でご祈祷を受ける(ご家族もご一緒に)
  4. お守り・お札を授かり、持たせ方や置き場所について説明を受ける

持ち物として特別なものは要りません。ただ、小さなお子さんを連れてのお参りですから、次のものがあると動きやすくなります。

  • おむつ・着替え・タオル
  • 授乳やお茶の用意(お堂の外で落ち着ける場所を尋ねておくと動きやすいです)
  • 抱っこひも(お堂では抱いたままお受けいただけます)
  • お札を持ち帰る袋。折らずに入る大きさのものが向いています

服装は、かしこまった礼服でなくてかまいません。露出の大きい服装を避け、脱ぎ履きしやすい靴で参られると、お堂への上がり下りが楽です。お子さんが泣いてしまっても、お寺は困りません。泣くのが仕事の年齢ですから、どうぞそのままお参りください。

お寺に納めるお供えの考え方

ご祈祷の際にお寺へ納めるものは、商品の代金ではなく「お供え」です。金額の決め方や呼び方はお寺によって違いますので、迷ったときは予約のときに率直に尋ねてよいものです。尋ねることは失礼にはあたりません。

当山では、虫封じ(虫切)のお供えを3,000円以上としてお受けし、お守りとお札をお授けしています。白い封筒か紅白の水引の袋に入れ、表に「御供」または「御祈祷料」、下にご家族のお名字を書いてお持ちください。中袋には金額と住所を書いておくと、お寺側の記録にも残ります。

なお、当山では虫封じのほかに、安産祈願(お供え5,000円以上・お守りとお札をお授けします)もお受けしています。妊娠5ヶ月目の最初の戌の日が良いとされますが、これも六曜とは関係がありませんので、安定期に入った体調の良い日でかまいません。腹帯をお持ちの方はご持参ください。

授かったお守りとお札の扱い

ご祈祷のあとにお授けするお守りとお札は、扱いに厳しい決まりがあるわけではありませんが、次の点を心にとめておかれるとよいと思います。

  • お札は、家族が集まる部屋の、目線より高く、清らかなところにお祀りします。神棚や仏壇があればその近くで結構です。画びょうで直に刺すのは避け、台や袋に納めて立てかけます。
  • お守りは、お子さんの手の届くところに下げると口に入れてしまうことがあります。ベビーカーやかばん、寝床の枕元の壁など、お子さんのそばで、かつ触れられない場所を選んでください。
  • 古くなったお守りやお札は、ごみとして捨てずに、授かったお寺にお返しするのが本来です。遠方でお参りが難しい場合は、どのようにすればよいか一度お寺に尋ねてください。

「一年で必ず返さなければならない」といった決まりを当山では設けていません。お子さんの成長の区切りがついたと感じたときに、お礼のお参りをかねてお返しいただければ十分です。

お寺のご祈祷と、お医者さんの出番を分けて考える

ご祈祷は、お子さんの体の異変を診るものではありません。次のような様子があるときは、まず小児科にご相談ください。

  • 泣き方がいつもと違い、抱いても反り返るように泣き続ける
  • 発熱、嘔吐、下痢、ひきつけ、ぐったりして反応が弱いなど、体の症状をともなう
  • ミルクや食事が入らない、体重の増えが思わしくない
  • しばらく様子を見ても変わらない、あるいは日ごとに悪くなっていく

反対に、「診てもらったが、特に悪いところはないと言われた。それでも夜泣きは続いている」というとき ── 昔から人がお寺に足を運んできたのは、そういうときでした。祈ることでみ仏さまのお力をいただき、そのご加護の中でお子さまが少しずつ穏やかになり、健やかな方向へと導かれていきます。

受ける前に確かめておきたいこと

お寺によって扱いが違う点を、あらかじめ電話で確かめておくと、当日あわてずに済みます。

確かめること 尋ね方の例 当山の場合
檀家・宗派の要否 「檀家ではありませんが、宗派が違っても受けられますか」 宗旨・宗派・国籍を問いません
予約の要否 「何日か前までに連絡が必要ですか」 住職が他の勤めに出ていることがあるため、お越しになる前に一度お電話をいただきたく思います(受付7:00〜18:00)
お供え 「どのくらいお供えすればよいでしょうか」 虫封じ(虫切)は3,000円以上。お守りとお札をお授けします
授与されるもの 「お札やお守りはいただけますか。大きさはどのくらいですか」 お守りとお札をお授けします
お堂までの段差 「ベビーカーで上がれますか。車椅子でも参れますか」 バリアフリーに配慮しており、車椅子でもお参りいただけます
交通と駐車 「駐車場はありますか」 駐車場25台。和歌山バス「堀止」下車、東へ徒歩約5分

檀家でない方がお寺でご祈願をお受けするときの考え方や、お供えの包み方については、当山の記事日蓮宗の寺院で祈願を受ける、檀家以外の申し込みとお供えにもまとめてあります。和歌山市内でお寺をお探しの段階の方は、日蓮宗の寺院を和歌山市で探すとき|檀家の要否と訪問前の確認点もあわせてご覧ください。

当山の虫封じについて

当山・覚王山 妙宣寺(和歌山市新堀東)は、寛永年間(1624〜1644年)の創立と伝えられる日蓮宗の寺院です。魁星妙見さまをお祀りし、古くから「堀止の妙見さん」と呼ばれてきました。虫封じ(虫切)も、この地で長く続けてきたご祈祷の一つです。

当山には、ほかにも古い形のまま続けているご祈祷があります。土用の丑の日に勤める「きうりふうじ」は、五百年以上続くと伝わる秘法で、諸病消滅を願う大封じ祈祷会です。お参りの方はきゅうりを一人一本お持ちください。病の苦しみが少しでも無くなり家族一同が健康に過ごせるようにご祈願しています。虫封じも同じ心持ちでお勤めしています。

ご祈祷やお子さんのことでご心配があれば、住職が直接お話をうかがいます。お電話は073-422-7968、受付は7:00〜18:00です。宗旨・宗派・国籍は問いません。夜泣きに向き合っている時期は、ご家族の体もこたえます。体調が悪いときはお医者さんへ行っていただき、み仏さまのご加護をいただき、ご家族みんな楽しく暮らしていけるようにお寺に来ていただければと思います。

よくあるご質問

虫封じは何歳ごろに受けるものですか
虫封じ(虫切)に年齢の決まりはありません。夜泣きや強い泣きが気になり始めたときが、そのご家庭にとっての時期です。お宮参りや初節句といった成長の節目にあわせてお参りになる方もいらっしゃいます。日取りは六曜とは関係がありませんので、お子さんの体調が良く、ご家族が落ち着いて参れる日をお選びください。
檀家ではなく、宗派も違いますが虫封じを受けられますか
覚王山 妙宣寺(和歌山市新堀東)では、宗旨・宗派・国籍を問わずお受けしています。日蓮宗の寺院ですが、他宗派の方も、国籍の異なる方もお申し込みいただけます。檀家になる必要はありません。住職が他の勤めに出ていることがありますので、お越しになる前に一度お電話(073-422-7968/受付7:00〜18:00)をいただけると助かります。
虫封じのお供えはいくら包めばよいですか
覚王山 妙宣寺では、虫封じ(虫切)のお供えを3,000円以上としてお受けし、お守りとお札をお授けしています。白い封筒か紅白の水引の袋に入れ、表に「御供」または「御祈祷料」、下にご家族のお名字を書いてお持ちください。金額の目安が分からないときは、ご予約のときに尋ねていただいて差し支えありません。
授かったお札とお守りはどこに置けばよいですか
お札は、家族が集まる部屋の目線より高い清らかなところにお祀りします。神棚や仏壇があれば、その近くでかまいません。画びょうで直に刺さず、台や袋に納めて立てかけてください。お守りは、小さなお子さんが口に入れてしまうことがあるため、ベビーカーやかばん、寝床の枕元の壁など、そばにあって触れられない場所を選ぶとよいでしょう。古くなったものは、授かったお寺にお返しするのが本来の形です。
夜泣きがひどいとき、お寺のご祈祷だけに頼ってよいのでしょうか
はい、頼ってください。ただお医者さんに診てもらってから、お寺にて虫封じやご祈祷を受けてください。発熱・嘔吐・ひきつけ・ぐったりして反応が弱いといった症状をともなうとき、ミルクや食事が入らないとき、しばらく様子を見ても変わらないときや悪くなっていくなど体調の悪いときは医療機関を受診されてからお寺にお越しください。

コラム一覧へ

ご相談・ご予約

ご相談・ご見学は、お電話(073-422-7968/受付 7:00〜18:00)またはフォームからお受けしています。住職 蘆田恵教が直接お受けします。
ご不明な点は、そのままお尋ねください。無理におすすめすることはありません。

お電話で相談(受付 7:00〜18:00) フォームで相談