2026.10.19

永代供養の合祀と過去帳、迷う方へ|記録の残り方とお参り

和歌山市堀止の覚王山 妙宣寺です。永代供養をお調べになる中で「合祀(ごうし)」という言葉に行き当たり、ほかの方のご遺骨と一緒になってしまうのなら、あの人がいたという記録は何も残らないのではないか——そう心配されてご相談にみえる方が少なくありません。

結論から申し上げると、ご遺骨をひとつの場所に納めることと、お名前やご命日の記録が残ることは別のことです。その記録を受け持ってきたのが、お寺の過去帳(かこちょう)です。ここでは、合祀という納め方の中身、過去帳に何が記されるのか、合祀のあとのお参りはどうなるのか、申し込む前に確かめておきたい点を順にご案内します。

合祀とは、どういう納め方のことか

合祀とは、ほかの方のご遺骨とご一緒に、ひとつの場所へ納める形をいいます。多くは永代供養塔や合祀墓と呼ばれる場所で、骨壺から出してお納めします。「合葬(がっそう)」と呼ぶ寺院や霊園もありますが、指しているものはおおむね同じです。

永代供養という言葉は幅が広く、中身は大きく二つに分かれます。

  • はじめから合祀する形……お預かりしてすぐ、合祀の場所へお納めします。
  • 年数を区切って個別に安置し、そのあと合祀する形……十年、十七年、三十三年といった期間はお骨をひとつずつ安置し、期間を終えてから合祀へ移ります。

どちらを選んでも、お寺が供養を引き受け続けるという点は変わりません。違うのは「個別の場所がある期間」と、それに応じた費用です。

合祀で知っておきたい、ひとつの区切り

合祀は、いちど行うと後戻りができません。ほかの方のご遺骨と混じるため、あとから特定の方のお骨だけを取り出すことができないからです。当山でも、納骨堂に安置している間はそれぞれの年数が終わるまで返還をお受けしますが、埋葬後の返還はできません。

「いずれ故郷のお墓に移すかもしれない」「きょうだいの中でまだ話がまとまっていない」といった事情があるうちは、すぐに合祀する形ではなく、年数を置く形から考えていくという順序もあります。合祀の時期をどう決めるかは永代供養の合祀のタイミング、年数を決めるときの3つの軸でも取り上げています。

過去帳とはどんなものか

過去帳に記される項目と、お寺の過去帳・ご家庭の過去帳の違いを示した図

過去帳は、亡くなった方のお戒名(お亡くなりになった方に授かる仏弟子としてのお名前。日蓮宗では法号とも申します)、生前のお名前(俗名)、ご命日、ご年齢などを記しておく帳面です。折り本の形をしたものが多く、日付ごとに書き分けられるようになっています。

過去帳には、置かれる場所によって二つの顔があります。

  お寺の過去帳 ご家庭の過去帳
置かれる場所 寺院が保管します ご自宅のお仏壇、または仏壇の引き出し
記す役目 そのお寺で供養をお受けした方を記します その家のご先祖様を代々記していきます
主な使われ方 ご命日のお勤め、年忌の確認 月命日やご法事の折に開き、手を合わせます
引き継ぐ人 住職が代を越えて引き継ぎます お仏壇を守る方が引き継ぎます

つまり、お墓やご遺骨が「体」を預かる場所だとすれば、過去帳は「お名前とご命日」を預かる場所です。合祀でご遺骨がひとつになっても、過去帳に記されたお名前とご命日はそのまま残り、ご命日のお勤めの拠りどころになります。ここが、合祀を考えるうえで押さえておきたいところです。

過去帳は誰が書くのか

お寺の過去帳は住職が記します。ご家庭の過去帳は、お戒名の部分をお寺に書き入れていただき、以後の記入をご家族が続けていかれる形が一般的です。筆で書くのが難しければ、お寺にお持ちいただいて書き足すこともできます。ご自身で書く場合も「正しくない書き方だから供養にならない」ということはありません。大切なのは、お名前とご命日が後の代に伝わる形で残っていることです。

当山の場合、合祀とともに過去帳へお記しします

当山の合祀供養は5万円です。お預かりしてすぐに合祀し、過去帳にお記しして供養いたします。納めたお骨は月命日にお読経をあげ、日々のご回向(えこう。お勤めの功徳を、亡くなった方へ向けること)を欠かしません。

年数を置いてから合祀する形もございます。永代供養15万円は、お骨を10年間は個別に安置し、その後に合祀する形で、毎月の命日のご供養と、お彼岸・お盆のご供養が付きます。さらに長く個別に安置する年忌供養付きは、17年23万円・33年33万円・50年50万円で、その年数までお骨を個別に安置し、お彼岸とお盆の施餓鬼供養(せがきくよう。苦しみの世界にある精霊に食べ物をお供えし、その功徳を向けるお勤め)と、ご命日・各年忌の供養が付きます。

お名前を目に見える形で残したい場合は、供養塔への刻銘を1枚3万円でお受けしています。帳面に記す記録と、石に刻む記録の両方を残しておきたいという方もおられます。

なお、墓石を建てずにお参りできる納骨墓(のうこつぼ)は一室50万円からで、管理費が年3,000円かかります。お骨の大きさや数に制限はなく、一室の費用はお一人でもご家族でも同じです。これを除き、お申し込みのあとに年会費・寄付金・管理費はいただきません。護持会費そのものの考え方は護持会費とは、納骨先を探す方へ|墓地管理料との違いと納め方をご覧ください。

合祀を決める前に確かめておきたい5つのこと

合祀を決める前に納骨先へ確かめたい5つの確認項目の一覧図

どちらのお寺・霊園に納める場合でも、次の5点を尋ねておくと、あとから「そんなつもりではなかった」となりにくくなります。宗教施設ごとに決まりが違うため、一般論ではなく、その納骨先の答えを聞くことが要になります。

1. 合祀はいつ行われるのか

納めてすぐなのか、年数を置いてからなのか。年数を置く場合、その年数の起算点はいつか(亡くなった日か、納骨の日か)。ここが曖昧だと、合祀の時期が思っていた時期とずれます。

2. 記録はどこに、どんな形で残るのか

過去帳にお記しいただけるのか。記されるのはお戒名か、俗名も併せてか。お戒名がない場合、俗名のままでも受けていただけるのか。石碑や銘板にお名前を刻む仕組みがあるのか、その費用はいくらか。

3. 合祀のあと、供養はどう続くのか

月命日のお勤めがあるのか、お彼岸・お盆の合同供養があるのか、ご遺族が個別に年忌法要を頼めるのか。「永代供養」と書いてあっても、中身は納骨先ごとに違います。

4. 費用の総額と、のちに続く費用

最初に納める額のほかに、毎年かかるものがあるか。あるなら、誰が納めるのか、納める人がいなくなったときはどうなるのか。費用の見方は永代供養の相場の感覚、初めて調べる方へ4つの内訳で内訳ごとに整理しています。

5. ご遺骨を返していただけるか

合祀の前なら返還できるのか、期限はいつまでか。合祀後は取り出せないのが通例ですので、その点をはっきり聞いておきます。

合祀のあと、お参りはどうするのか

合祀のあとは、個別のお墓ではなく、合祀の場所や永代供養塔に向かって手を合わせます。「どこに手を合わせればよいか分からない」という戸惑いを聞くことがありますが、場所が定まっているという点ではお墓参りと変わりません。お彼岸やお盆、ご命日に足を運ばれる方が多くおられます。

確かめておきたいのは、お参りできる時間帯と、お供えができるかどうかです。当山ではお参りの時間を制限しておらず、お花・お菓子・飲み物など、お好きなものをお供えいただけます。境内はバリアフリーに配慮しておりますので、足腰に不安のある方も車椅子の方もお参りいただけます。お供えの選び方と下げ方はお供えの花とお菓子|お墓参りと仏前での選び方と下げ方にまとめています。

遠方で足を運びにくい方もおられます。その場合でも、ご命日に自宅で過去帳を開き、手を合わせることはできます。ご家庭の過去帳が、お寺に来られない日々のお参りの拠りどころになります。

ご家庭の過去帳は、合祀のあとどうするか

ご遺骨を合祀しても、ご家庭の過去帳はそのまま手元に残ります。お墓じまいやお仏壇の整理に合わせて処分してしまう方がありますが、これはいちど失うと戻せません。ご先祖様のお戒名とご命日が書かれた、その家で唯一の記録であることが多いからです。

引き継ぐ人を決めておく

どなたが過去帳を預かるのかを、ご存命のうちに話しておくと、後の代で行き先に困りません。お仏壇を引き継ぐ方が自然ですが、お仏壇を置かない住まいでも、過去帳だけを引き出しに納めておくことはできます。

写しを残しておく

記載を書き写しておく、あるいは控えを取っておくと、万一のときにも記録が絶えません。過去帳には生前のお名前やご命日が並びます。人に見せるものではありませんので、保管の場所にはご配慮ください。

預かり先がないときは

どうしても手元に置けない事情があるときは、菩提寺に納める、あるいは納骨先の寺院に相談するという道があります。当山では、ご先祖様のお位牌や過去帳のことも含めて、墓じまいのあとの供養のご相談をお受けしています(墓じまい後のご先祖様の永代供養は1家分20万円、納骨のみは10万円です。なお石材の撤去や行政手続きの代行は扱っておりません)。お布施の包み方については墓じまいのお布施を包むとき|表書きと金額の尋ね方をご覧ください。

合祀について、よく聞く思い違い

「合祀すると供養がなくなる」

合祀は供養の終わりではなく、お寺が引き継いで続けていく形です。当山では合祀供養をお受けした方も過去帳にお記しし、月命日のお読経と日々のご回向を続けております。

「合祀は簡素にしたという意味で、申し訳ない」

多くの方のご遺骨をひとつの場所にお納めし、お寺が一手に供養していく形は、古くから続いてきた納め方です。当山が費用を抑えてお受けできるのも、供養の形をシンプルな昔ながらのものにしているためです。簡素にしたから供養が浅くなる、ということではありません。

「過去帳はお墓がある家のものだ」

過去帳はお墓の有無と関わりなく続けられます。お墓を持たず納骨墓や合祀を選んだご家庭でも、過去帳があれば、ご命日に手を合わせる暮らしは変わらず続きます。

相談するときの進め方

納骨先を決めるときは、資料の文字だけで判断せず、いちど足を運んで、合祀の場所とお参りの導線を見ておかれることをおすすめします。そのうえで、前の章の5点を順に尋ねてみてください。見学の前に揃えておきたいことは和歌山のお寺で見学予約、初めての人が確かめたい5点にまとめています。

当山では、ご供養と人生相談は予約制で、相談は住職が直接お受けします。受付は7:00〜18:00、お電話(073-422-7968)かフォームからお申し込みください。住職がほかの勤めに出ていることがありますので、お越しの前に一度お電話をいただけると確かです。宗旨・宗派・国籍は問いません。生前のご相談・ご契約もお受けしております。

合祀すると、故人のお名前はどこにも残らないのですか。
ご遺骨はほかの方とご一緒にお納めしますが、お名前やご命日の記録は過去帳という帳面に残ります。過去帳はお寺が保管し、代を越えて引き継いでいくものです。覚王山 妙宣寺の合祀供養(5万円)でも、すぐに合祀したうえで過去帳にお記しし、月命日のお読経と日々のご回向を続けております。お名前を目に見える形で残したい場合は、供養塔への刻銘を1枚3万円でお受けしています。
過去帳には何が書かれているのですか。
お戒名(お亡くなりになった方に授かる仏弟子としてのお名前。日蓮宗では法号とも申します)、生前のお名前である俗名、ご命日、ご年齢などが記されます。折り本の形で、日付ごとに書き分けられるものが多く、ご命日や年忌を確かめる拠りどころになります。お寺が保管するものと、ご家庭のお仏壇に置くものがあり、ご家庭の過去帳はお仏壇を守る方が代々引き継いでいきます。
すぐに合祀する形と、年数を置いてから合祀する形は何が違いますか。
ご遺骨を個別に安置する期間があるかどうかが違います。覚王山 妙宣寺では、10年間は個別に安置してから合祀する永代供養が15万円で、15万円には毎月の命日のご供養と、お彼岸・お盆のご供養が付きます。さらに長く安置する永代供養(年忌供養付き)は17年23万円・33年33万円・50年50万円で、お彼岸とお盆の施餓鬼供養、ご命日と各年忌の供養が付きます。すぐに合祀する合祀供養は5万円です。
いちど合祀したあとで、ご遺骨を返していただくことはできますか。
合祀はほかの方のご遺骨とご一緒にお納めするため、あとから特定の方のお骨だけを取り出すことはできません。覚王山 妙宣寺では、納骨堂に安置している間はそれぞれの年数が終わるまで返還をお受けしますが、埋葬後の返還はできかねます。将来お骨を移される見込みがある場合は、年数を置く形からお考えになるとよいかと存じます。
お墓じまいをしたあと、家にある過去帳はどうすればよいですか。
ご家庭の過去帳は、お墓やご遺骨とは別に手元へ残しておけます。ご先祖様のお戒名とご命日が記された、その家で唯一の記録であることが多いため、どなたが引き継ぐかを前もって話し合っておかれると安心して先へ進めます。手元に置けない事情があるときは、お寺にご相談ください。覚王山 妙宣寺では、墓じまいのあとのご先祖様の永代供養を1家分20万円、納骨のみ10万円でお受けしています(石材の撤去や行政手続きの代行は扱っておりません)。

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