2026.09.19
日蓮宗の寺院での祈願、檀家でない方へ|申し込みの流れとお供え

「お寺でご祈願をお願いしたいけれど、どう申し込めばよいのか分からない」というお声をよくいただきます。和歌山市にございます日蓮宗の寺院、覚王山 妙宣寺でございます。檀家でなくてもよいのか、いくら包めばよいのか、当日は何を持っていけばよいのか。はじめての方には分かりにくいことばかりかと思います。ここでは、日蓮宗の寺院でご祈願を受けるときの考え方から、願い事に合うお勤めの選び方、申し込みから当日までの流れ、お供えの包み方、お札とお守りのお祀り方まで、順を追って書いてまいります。
日蓮宗でいう「ご祈願」とは
日蓮宗におけるご祈祷(ご祈願)とは、法華経の教えと日蓮大聖人の信仰に基づき、法華経と南無妙法蓮華経のお題目を唱え、仏菩薩・諸天善神の加護を願い、現世のさまざまな願いが成就するよう祈る修法です。
お題目を唱え、仏さまと諸天善神のご加護を願う
ご祈祷の場では、僧侶が法華経をお読みし、お題目をお唱えします。参拝の方も声に出してお題目をお唱えになって構いませんし、黙って手を合わせておられても構いません。「諸天善神」とは、法華経の教えを守る神々のことで、そのご加護をいただき、災いを除き、福徳を増していただくようお祈りするのがご祈祷です。
日蓮宗の祈祷は、修行を重ねた僧侶が勤めます。百日間の大荒行に入り、修法を身につけたうえでお勤めするのが古くからの習わしで、当山の住職も平成5年2月に日蓮宗の大荒行を成満しております。はじめてお参りになる寺院でどのような僧侶が勤めているのかが気になるときは、こうした点も申し込みの前にお確かめいただける事柄です。
「願いをかなえてもらう儀式」とは考えません
ご祈祷を単なる「願い事をかなえてもらうための儀式」とは考えません。ご祈祷を受ける功徳によって、仏さま菩薩さま・諸天善神の加護をいただき、災いを除き、福徳を増し、願いの成就へと導いていただくという法要です。
単に「病気が治ります」「商売が成功します」と結果だけを祈願するものではありません。仏さま菩薩さま・諸天善神の加護を受け功徳をいただきながら、その人自身が正しく生き、努力する力をいただくことにも大きな意味があります。
病気平癒のご祈祷と、お医者さんにかかること
たとえば病気平癒のご祈祷であれば、「ご祈祷を受ければ病院や薬は必要ない」ということではありません。医師による治療を受けながら、同時に仏さまに病気平癒を祈り、心身の回復と生命力の増進を願うのが日蓮宗のご祈祷です。治療の方針や通院のことはかかりつけの医療機関とご相談のうえ、そのうえで仏前に手を合わせていただければと思います。
どのような願い事でご祈祷を受けるか
次のような願いに対してご祈祷が行われます。
病気平癒・身体健全・家内安全・交通安全・厄除け・開運・商売繁盛・事業繁栄・学業成就・受験成就・安産・子授け・虫封じ・災難消除など
そして、その根本にあるのは、「仏菩薩・諸天善神の功徳によって、私たちの生命が正しく力強く生きられるように祈る」ということです。願い事が複数あっても構いませんが、申し込みのときに主となる願いをひとつ言葉にしておかれると、当日のやり取りが落ち着いて進みます。
ご祈願とご供養は目的が違います

お寺に申し込むお勤めには、大きく分けて「ご祈願」と「ご供養」があります。混同されやすいので、はじめに整理しておきます。
| ご祈願(ご祈祷) | ご供養 | |
|---|---|---|
| 対象 | いま生きている方の願い事 | 亡くなった方・水子さん・ご先祖様 |
| 内容の例 | 安産、家内安全、身体健全、商売繁盛、諸病消滅 | 年忌法要、永代供養、水子供養、納骨 |
| お包みの表書きの例 | 御祈祷料、御初穂料、御供 | 御布施、御供養料 |
| お授けするもの | お守り・お札(寺院によります) | 塔婆、過去帳への記載など |
「病気の平癒を願いたい」はご祈願、「亡くなった方のご冥福をお祈りしたい」はご供養です。申し込みのときにどちらを希望されるのかを伝えると、話が早く進みます。なお、ひとつのお参りでご祈願とご供養を続けて勤めることもありますので、両方をお考えのときは、その旨も最初に伝えておかれると行き違いがありません。
願い事ごとに、受けるご祈願を選ぶ
日蓮宗の寺院では、家内安全・身体健全・厄除け・学業成就・商売繁盛といった一般的なご祈願のほか、そのお寺に古くから伝わる独自のご祈祷を続けているところがあります。まずはご自身の願い事を言葉にしてみて、それに合うお勤めがあるかどうかを確かめるところから始めると、遠回りがありません。
暮らしの節目に受けられるご祈願
多いのは、年の初めの家内安全、厄年にあたる年の厄除け、受験前の学業成就、出産前の安産祈願、商いを始めるときの商売繁盛などです。時期が決まっているものもあれば、思い立ったときにお受けできるものもあります。厄年は数え年で数えるのが通例で、地域や寺院によって前厄・後厄の扱いが異なります。ご自身の年回りに迷われたら、生まれ年をお伝えいただければ確かめられます。
その寺に伝わるご祈祷
古くからのご祈祷は、年に一度だけ、決まった日に勤められることが少なくありません。日取りが固定されている分、その日に合わせて予定を組む必要があります。関心のあるお勤めがあるときは、前の年のうちに日取りを確かめておかれると、当日あわてずに済みます。
当山でお受けしているご祈祷
当山でお勤めしているご祈祷は次のとおりです。宗旨・宗派・国籍は問いません。
| ご祈祷 | 時期 | お供え・ご祈祷料 |
|---|---|---|
| 各種御祈願 | 随時 | 5,000円以上(お守りとお札をお授けします) |
| 安産祈願 | 随時(安定期の体調のよい日に) | 5,000円以上(お守りとお札をお授けします) |
| 虫封じ(虫切) | 随時 | お守りとお札をお授けします(お供えの額はご連絡の際にお伝えします) |
| きうりふうじ | 毎年 土用の丑の日 | お一人 3,500円 |
| ぢふうじ | 毎年 お月見の日 | お一人 3,500円 |
きうりふうじは、五百年以上続くと伝わる秘法で、諸病消滅を願う大封じ祈祷会です。参加される方はきゅうりを一本お持ちになります。土用の丑の日に勤めますので、夏の盛りのお参りになります。
お月見の日に勤めるぢふうじは、そのお悩みが治まりますようにとお祈りする大祈祷会です。お経と秘法で病を封じています。朝から夕方まで終日勤め、他のお寺の僧侶も加わります。終わりに住職がお守りをお授けし、次のお月見の日までお持ちいただきます。体の不調でお困りの場合は、医療機関での診察や治療を続けながらお参りになる方もいらっしゃいます。
虫封じ(虫切)は、お子さまの邪気や魔を払い、健やかな成長を願うお勤めです。夜泣きやかんしゃくが続いてご心配なときに、お参りになる方がいらっしゃいます。ご祈祷会へのご参加をご希望の方は、ご連絡ください。
申し込みから当日までの流れ

1. まず電話かフォームで問い合わせる
ご祈願の種類、希望の日、参加される人数を伝えます。当山の受付は7:00〜18:00、電話は073-422-7968です。住職が他の勤めに出ていることがありますので、お越しになる前に一度お電話をいただけると確実です。なお、ご供養と人生相談は予約制でお受けしています。
2. 伝えておくとよいことを整理する
ご祈願では、願主のお名前・ご住所・願い事を読み上げます。最初のご連絡のときに次の点を伝えておかれると、当日の受付が滞りません。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| ご祈願の種類 | 家内安全、身体健全、安産、学業成就 など |
| 願主のお名前 | ご本人かご家族か、ふりがなもあわせて |
| ご住所 | 読み上げる範囲(市町村までなど) |
| 希望の日と人数 | 平日か土日か、何名でお参りになるか |
| お子さまのこと | 虫封じのときは年齢と、お名前の読み方 |
ご家族の分をまとめてお願いする場合は、どなたのお名前を挙げるのかを事前に決めておかれると、当日に迷いません。
3. 持ち物と服装
服装に決まりはありませんが、お堂に上がりますので、素足を避け、落ち着いた色合いのものが無難です。夏場でもサンダルより靴下を履いておかれるほうが過ごしやすいかと思います。安産祈願では腹帯をお持ちであればご持参ください。きうりふうじではきゅうりを一本お持ちになります。お数珠をお持ちでしたら持参され、無ければ合掌だけで構いません。お供えは、のし袋や白封筒に「御祈祷料」「御供」と表書きし、お名前を書いてお持ちいただければ結構です。
4. 当日のお勤め
受付でお名前と願い事を確認し、本堂でお勤めをします。読経とお題目の間は、椅子か座布団に座ってお参りいただきます。お子さまが途中で声を出されても差し支えありません。ご祈祷のあと、お守りやお札をお授けする寺院が多く、当山でも各種御祈願・安産祈願・虫封じではお守りとお札をお授けしています。お札は、目線より高く清潔な場所にお祀りするのが一般的です。はじめて日蓮宗の寺院にお参りになるときの立ち居振る舞いは「日蓮宗の寺を初めて訪ねるとき、お参りの作法と確かめる点」にも書いています。
檀家でなくても受けられるのか
ここがいちばん多いご質問です。言葉の整理をしておくと、「檀家」はそのお寺にお墓や先祖代々のご供養をお預けしている家、「信徒」はお墓は別でもその寺の教えにご縁を結んでいる方を指すことが多く、ご祈願だけをお受けになる方はそのどちらにも当てはまらないのが普通です。
当山では、ご祈願・ご供養・人生相談のいずれも、宗旨・宗派・国籍を問わずお受けしています。日蓮宗の寺院ですが、他宗派の方も、国籍の異なる方もお申し込みいただけます。ご祈願を受けたからといって檀家になる必要はありませんし、そのあと寄付のお願いをすることもありません。
ただし、寺院ごとに考え方は異なります。はじめてお参りになる寺院では、檀家であることを前提にしているか、ご祈願だけでもお受けしているかを、最初のご連絡の段階で確かめておかれると行き違いがありません。お寺の選び方や訪問前に確かめておきたいことは「日蓮宗の寺院を和歌山市で探すとき|檀家の要否と訪問前の確認点」にもまとめています。
お供えはいくら包めばよいか
ご祈祷料を定めている寺院と、「お気持ちで」としている寺院があります。金額が定まっている場合はその額を、定まっていない場合は、予約のときに「どのくらいお包みすればよいでしょうか」と率直に尋ねて構いません。尋ねること自体は失礼にあたりません。
表書きと包み方
ご祈願は慶事にあたるお勤めですので、紅白の水引ののし袋か、白無地の封筒を使います。表書きは「御祈祷料」「御初穂料」「御供」、下段に願主のお名前を書きます。ご家族でお受けになるときは世帯主のお名前か「〇〇家」とされる方が多いようです。新札でなければならないという決まりはありません。渡すのは受付のときで、袱紗に包んで持参し、両手でお渡しすると丁寧です。お花やお菓子をお持ちになる場合の選び方は「お供えの花とお菓子|お墓参りと仏前での選び方と下げ方」をご覧ください。
当山のお供え
当山の場合は、各ご祈祷ご祈願のお供えが5,000円以上、きうりふうじ・ぢふうじのご祈祷料がお一人3,500円です。人生相談については金額を定めておらず、「御礼」「お布施」として御宝前にお供えいただいています。相談は住職が直接お受けし、一時間ほどになることが多く、秘密は厳守いたします。住職は令和5年5月より和歌山県宗務所長を務めております。
お札とお守りを受けたあと
ご祈祷が終わると、お札やお守りをお持ち帰りになります。お札は神棚や仏壇の脇、あるいは家族が集まる部屋の目線より高い場所に、南か東を向けてお祀りするのが一般的です。画鋲で直接留めず、白い紙や台の上に置くと丁寧です。お守りは身につけるか、鞄や車の中など、ふだん使うものに添えておきます。
一年をめどに新しいものにお受け替えし、古いお札はお寺にお納めするのが一般的な作法です。他の寺社で受けたお札とご自宅で並べてお祀りしても差し支えありません。当山のぢふうじでお授けするお守りは、次のお月見の日までお持ちいただいています。
安産祈願はいつ受けるとよいか
妊娠5ヶ月目の最初の戌の日がよいとされていますが、これは六曜とは関係のない習わしです。戌の日にこだわって無理をされるより、安定期に入って体調のよい日にお参りいただくほうがよいと当山では考えています。腹帯をお持ちであればご持参ください。ご家族と一緒にお参りされる方も、お一人で来られる方もいらっしゃいます。
当日は本堂でお勤めしますので、長く座るのがつらいときは椅子をご用意できます。体調がすぐれない日は、日を改めていただいて構いません。ご本人が来られないときのご相談も承ります。
お参りに行けないときの考え方
遠方にお住まいで、当日どうしてもお参りできないことがあります。寺院によっては、代理の方のお参りや、郵送での受付に応じている場合があります。当山のぢふうじでは、遠方で来られない場合はお問い合わせください。まずは事情をそのままお伝えいただければ、できる形をご相談できます。
和歌山バス「堀止」から東へ徒歩約5分、駐車場は25台ございます。バリアフリーに配慮しており、足腰に不安のある方や車椅子の方もお参りいただけます。バスでお越しになる道順は「和歌山のお寺へバスでの行き方|初めての方への堀止下車後の道順」、お車の場合は「和歌山のお寺で駐車場ありを探す、車で行く前の5つの確認点」にまとめています。
ご祈願の前に、心に留めておきたいこと
ご祈願は、願い事を仏前に申し上げ、日々の暮らしを整えていくきっかけになるお勤めです。願いが大きいほど、祈ることとあわせて、治療を続ける、勉強を重ねる、商いの手を尽くすといった日々の積み重ねが伴います。日蓮宗のご祈祷は、その歩みを支える力をいただくお勤めとして勤められてきました。
当山は「みんな、仏様の子」という考えを中心に置き、どなたのお祈りも分け隔てなくお受けしています。分からないことがあれば、申し込みの前にお尋ねいただければと思います。
檀家でなくても日蓮宗の寺院でご祈願を受けられますか。
ご祈願のお供えはいくら包めばよいですか。
安産祈願は戌の日に受けないといけませんか。
きうりふうじやぢふうじは、いつ行われますか。参加するにはどうすればよいですか。
いただいたお札やお守りは、どのように扱えばよいですか。
ご相談・ご予約
ご相談・ご見学は、お電話(073-422-7968/受付 7:00〜18:00)またはフォームからお受けしています。住職 蘆田恵教が直接お受けします。
ご不明な点は、そのままお尋ねください。無理におすすめすることはありません。