2026.09.29

墓じまいのお布施を包むとき|表書きと金額の尋ね方

お墓を片づけて、ご遺骨を別の場所へ移す「墓じまい」。石材店への見積もりや役所の書類と並んで、多くの方が手を止めるのがお布施のことです。金額の表が示されるわけでもなく、誰に、いつ、どう包めばよいのかも教わる機会がありません。ここでは、墓じまいでお布施をお渡しする場面の整理と、表書きや包み方、そしてお寺への尋ね方まで、順を追ってまとめます。和歌山市の覚王山 妙宣寺(当山)では、墓じまいのあとのご供養についてご相談をいただくことがあります。

墓じまいでお布施をお渡しする場面は、ひとつではありません

墓じまいは「今あるお墓を閉じること」と「ご遺骨を新しい場所へ納めること」の二つが続けて起こります。お布施も、この二つの場面それぞれに関わります。まず、どの場面があるのかを分けて考えると、全体の見通しが立ちやすくなります。

1. 今のお墓での閉眼供養(へいげんくよう・魂抜き)

お墓から石を撤去する前に、僧侶にお経をあげていただくお勤めです。「魂抜き」「御霊抜き」とも呼ばれます。お墓を単なる石材に戻し、ご先祖様に「これから場所を移らせていただきます」とお伝えするための供養です。墓地の管理者が寺院であれば、その寺院の僧侶にお願いするのが通常の流れになります。このお勤めに対してお包みするのがお布施です。

2. 新しい納め先でのご供養・納骨

取り出したご遺骨を、永代供養の施設や納骨壇、別のお墓へ納めるときにも供養のお勤めがあります。新しくお墓を建てる場合は開眼供養(かいげんくよう)を、永代供養をお願いする場合は納骨の法要をお勤めするのが一般的です。ここでのお包みは、1の閉眼供養とは別に用意します。移す前と移した後で、お寺が変わることも多いためです。

3. これまでのご縁への御礼

長くお世話になった寺院を離れるとき、これまでのご供養への御礼をお包みする方もいらっしゃいます。これは供養一回分に対するものではなく、ご挨拶としての意味合いです。「離檀料」という言葉を目にすることがありますが、全国一律に決まった料金があるわけではありません。まずは、お墓を移したい事情を寺院に直接お話しし、必要な手続きと併せて相談されるのがよいと思います。

お布施は「料金」ではなく、お気持ちを形にしたものです

お布施は、お勤めに対する対価としての代金ではありません。仏さまやご本尊にお供えするもの、というのが本来の考え方です。そのため、多くの寺院は金額を定めていません。インターネット上には相場とされる数字が並んでいますが、地域や宗派、お勤めの内容によって前提が異なりますから、その数字をそのまま自分の場合に当てはめると行き違いが生じることがあります。

一方で、金額の見当がつかないままでは準備ができない、というのも当然のお気持ちです。お布施の性質と、実務として金額を知りたい気持ちは、両立して構いません。

金額はお寺に尋ねてよいのか、どう尋ねるか

尋ねて差し支えありません。失礼にはあたりませんので、遠慮なくお聞きください。伝え方としては、次のような言い回しが使いやすいと思います。

  • 「不調法で分かりませんので、皆さまはどのようにされているか教えていただけますか」
  • 「お布施はどのくらいお包みすればよろしいでしょうか。目安があれば教えてください」
  • 「塔婆代やお車代も併せて、当日用意するものを教えていただけますか」

「お気持ちで」とお答えになる寺院もあります。その場合は、お勤めの規模(僧侶が何名でお勤めするか、塔婆を立てるか、どこまで出向くか)を確認し、それに見合う形で用意すると考え方が整理しやすくなります。なお当山では、年忌法要のお布施は3万円から、塔婆は1体3,000円とお伝えしています。お尋ねいただければ具体的にお答えしますので、当日まで一人で悩まれる必要はありません。

表書きと包み方の基本

墓じまいのお布施の封筒の表書きと記載位置を示した図

お布施は、お勤めの当日にお渡しします。場面ごとの表書きを整理すると、次のようになります。

場面 表書き 備考
閉眼供養(魂抜き)のお勤め 御布施 / お布施 お墓を閉じる前のご供養に対して
新しい納め先での納骨・ご供養 御布施 / お布施 閉眼供養とは別に用意する
僧侶に墓地まで出向いていただいたとき 御車代 お布施とは別の封筒に分ける
会食を設けず、僧侶が同席されないとき 御膳料 会食を行う場合は不要
長年のご縁への御礼としてのご挨拶 御礼 供養一回分とは別の意味合い
塔婆を立てていただくとき 塔婆料 / 御塔婆料 寺院が金額を定めていることが多い

封筒は、白い無地の封筒か、市販の「御布施」と印刷された袋で構いません。水引は、地域の習わしがあればそれに従います。迷う場合は無地の白封筒が無難です。表書きは薄墨ではなく黒い墨で書きます。薄墨はご不幸への弔意を表すもので、お布施は仏さまへのお供えですので、通常の濃さで問題ありません。表の下段には施主のお名前(または「◯◯家」)を、裏面か中袋に金額と住所を書き添えると、寺院側で記録を残しやすくなります。

お渡しするときは、封筒を直接手で持たず、小さなお盆(切手盆)か袱紗(ふくさ)の上にのせ、相手から見て文字が正しく読める向きで差し出します。タイミングは、お勤めが始まる前のご挨拶のときか、終わったあとのお礼のときのどちらかで構いません。「本日はよろしくお願いいたします」の一言を添えれば十分です。

お布施と、それ以外にかかるお金を分けて考える

墓じまいで支払う相手先ごとの費用の性質を整理した図

墓じまい全体の費用をひとまとめに考えると、話が混ざって見えにくくなります。相手先ごとに分けると整理できます。

お渡しする相手 内容 性質
お勤めいただく寺院・僧侶 閉眼供養、納骨のご供養、塔婆など お布施(お供え)
石材店 墓石の解体・撤去、ご遺骨の取り出し、区画の整地 工事の代金(見積書が出る)
市区町村の役所 改葬許可申請などの手続き 手数料(自治体の定め)
新しい納め先 永代供養や納骨壇のご供養料 各施設の定めによる

このうち金額が明示されるのは、石材店の見積もりと役所の手数料、そして新しい納め先の供養料です。お布施だけが性質の異なるものだと分かれば、見積もりを比べる場面と、お寺に相談する場面を切り分けられます。改葬の書類の流れについては改葬の流れと費用、遠方のお墓を移すときの必要書類に、墓じまいと永代供養の関係については墓じまいと永代供養の違い|初めての改葬手続きと費用の内訳にまとめています(いずれも当山のコラムです)。

当山にご相談いただく場合

当山(和歌山市新堀東の覚王山 妙宣寺)がお受けしているのは、墓じまいのあとのご供養です。墓石の撤去工事や行政手続きの代行は行っておりませんので、そちらは石材店とお住まいの自治体にご相談ください。

墓じまい後のご先祖様の永代供養は1家分20万円、納骨のみをお受けする場合は10万円です。のうこつぼ(永代供養の付いた集合型の納骨墓)は一室50万円からで、管理費(護寺会費)が年3,000円かかります。のうこつぼ以外のご供養では、お申し込みのあとに年会費・寄付金・管理費はいただきません。お納めしたお骨には月命日にお読経をあげ、日々のご回向(お経をあげて、その功徳を故人やご先祖様にお届けすること)を欠かしません。

宗旨・宗派・国籍は問いませんので、他宗派のお墓を閉じられる方もご相談いただけます。ご遺骨がお一人分なのか、何代分まとめてなのかによって考え方が変わりますので、まずはお電話(073-422-7968/受付7:00〜18:00)でお聞かせください。住職が他の勤めに出ていることがありますので、お越しになる前に一度お電話をいただけると確実です。供養の形で迷われている場合は、永代供養の合祀との違いと個別安置、迷ったときの選ぶ順序もあわせてご覧ください。

準備のときに気をつけたいこと

まず、閉眼供養の日取りは、石材店の工事日と合わせて決める必要があります。先に工事日だけを押さえてしまうと、お寺の都合が合わないことがあります。お寺への連絡も忘れずに行ってください。

次に、ご遺骨を取り出したあとの行き先を決めてから工事に入ることです。取り出したご遺骨を一時的にご自宅に置くこと自体は珍しくありませんが、納め先が決まらないまま長く時間が過ぎると、ご家族の負担が続きます。見学や相談を先に済ませておくと、全体の段取りが組みやすくなります。見学の際に確かめておきたい点は和歌山のお寺で見学予約、初めての人が確かめたい5点にまとめました。

最後に、お布施の金額でご親族の間に食い違いが出ることがあります。誰が施主として包むのか、費用をどう分担するのかを、早い段階で話し合っておくと、当日に慌てずに済みます。

よくあるご質問

墓じまいのお布施は、白い無地の封筒でもよいですか。
白い無地の封筒で差し支えありません。市販の「御布施」と印刷された袋を使っても構いません。表書きは薄墨ではなく黒い墨で「御布施」または「お布施」と書き、下段に施主のお名前か「◯◯家」を入れます。裏面か中袋に金額と住所を書き添えておくと、お寺側で記録を残しやすくなります。水引については地域の習わしがある場合、それに合わせてください。
僧侶に墓地まで出向いていただくとき、お車代は別に包みますか。
お布施とは別の封筒に「御車代」として包むのが通例です。ご自身で送迎をされる場合は不要とされることもありますので、お勤めの相談をするときに、お車代が必要かどうかもあわせて尋ねておくと当日に迷いません。会食を設けず僧侶が同席されない場合は「御膳料」を別に用意することもあります。
お布施はお勤めの前と後、どちらで渡すのがよいですか。
どちらでも構いません。お勤めが始まる前のご挨拶のときにお渡しする方も、終わってお礼を申し上げるときにお渡しする方もいらっしゃいます。封筒は手で直接持たず、小さなお盆か袱紗の上にのせ、相手から文字が正しく読める向きで差し出します。「本日はよろしくお願いいたします」と一言添えれば十分です。
檀家ではない寺院に、墓じまいのあとのご供養だけをお願いできますか。
寺院によって受け入れの考え方が異なりますので、事前の確認が必要です。和歌山市の覚王山 妙宣寺では、宗旨・宗派・国籍を問わずお受けしています。墓じまい後のご先祖様の永代供養は1家分20万円、納骨のみの場合は10万円です。ご遺骨が何代分あるかで考え方が変わりますので、まずはお電話(073-422-7968/受付7:00〜18:00)でご事情をお聞かせください。
墓石の撤去工事や役所の手続きも、お寺に頼めますか。
工事と行政手続きは、石材店とお住まいの自治体が受け持つ領域です。覚王山 妙宣寺では墓じまいの代行(石材の撤去や改葬許可申請の代行)は行っておらず、お受けしているのは墓じまいのあとのご供養です。石材店の見積もりは代金、お寺へのお包みはお布施と、性質が異なるものとして分けて考えると準備が進めやすくなります。

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ご相談・ご見学は、お電話(073-422-7968/受付 7:00〜18:00)またはフォームからお受けしています。住職 蘆田恵教が直接お受けします。
ご不明な点は、そのままお尋ねください。無理におすすめすることはありません。

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