2026.09.18

継承者がいないお墓|引き受ける前の確認と供養の選び方

お墓の「継承者」とは誰を指すのか

祭祀財産の承継者が決まる順序を示した図

お墓のことでご相談をいただくとき、いちばん多くお聞きするのが「継承者がいない」というお話です。お墓や仏壇、ご先祖様の記録を引き受ける方を、日常では「継承者」「跡継ぎ」と呼びますが、法律の文章では「祭祀を主宰すべき者」(祭祀承継者)と書かれます。同じことを指しているとお考えいただいて差し支えありません。

民法第897条は、系譜・祭具および墳墓の所有権について、被相続人が指定した者が承継し、指定がないときは慣習に従い、慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定めると規定しています(出典:民法第897条)。ここで大切な点が三つあります。

  • お墓や仏壇、過去帳(ご先祖様のお戒名やご命日を記した帳面)といった祭祀財産は、預貯金や不動産のような相続財産とは別に扱われます。相続を放棄した方が引き受けることもできます。
  • 承継する方は、必ずしも長男や子に限られません。指定があれば親族以外でも構わないとされています。
  • 法律に書かれているのは「誰が承継するか」だけで、お参りを続ける義務や、費用を負担する義務の中身までは定められていません。

つまり「継承者がいない」という状態は、法律に違反しているわけではありません。ただ、お墓を置いている墓地の側からすると、届け出や連絡の相手がいなくなることになり、そこから困りごとが起きていきます。

継承者を決めないままにすると、お墓はどうなるか

継承者が決まらないまま年月がたつと、多くの場合、次のような順で進みます。

お参りとお手入れが止まる

まず、掃除やお花のお供えに行く方がいなくなります。次に、墓地の管理者からの連絡が届かなくなります。転居や世代交代で連絡先が変わったまま、どなたとも連絡が取れない状態になることが少なくありません。

「無縁」として扱われる手続きが始まる

縁故者の分からない墳墓は、墓地の管理者が定められた手続きを経て改葬することができます。墓地、埋葬等に関する法律施行規則第3条では、死亡者の本籍・氏名などを官報に掲載し、あわせて墳墓の見やすい場所に立札を1年間掲示して公告することが定められています(出典:墓地、埋葬等に関する法律施行規則第3条)。この手続きを経て、ご遺骨はほかの方々と一緒の場所へ移されます。

こうなってからでは、ご家族の意向を差し挟む余地がありません。だからこそ、継承者のことは「いつか誰かが」ではなく、今おられる方々の代で形を決めておくほうが、話が単純になります。

継承者を引き受けるとき、先に確認しておくこと

お墓の名義変更を届け出るまでの手順を示した図

ご親族のどなたかが引き受ける方向で話がまとまりそうなときは、次の点を先に確かめておくと、あとで行き違いが起きにくくなります。

1. 墓地の使用規則を読む

お墓は土地を買ったものではなく、墓地を使わせていただく権利です。承継できる範囲(親族に限るのか、それ以外も認められるのか)、名義変更に必要な書類、届け出の期限は、その墓地の規則に書かれています。まずここを読むところから始めてください。

2. 名義変更の届け出をする

一般には、承継する方の身分を示す書類、前の名義の方が亡くなったことが分かる書類、続柄の分かる戸籍などを添えて、墓地の管理者へ届け出ます。必要書類は墓地ごとに異なりますので、管理者にお尋ねください。

3. ご親族の間で話をそろえる

民法に「指定に従う」と書かれていても、実際に行き違いが起きるのは、指定が口約束だけで残っていない場合です。誰が引き受けるか、費用は誰がどう分けるか、お参りはどうするかを、ご兄弟・ご姉妹のいるうちに一度言葉にしておくことをおすすめします。

4. 次の代にどう渡すかまで考える

ご自身が引き受けたあと、その次の代がいるかどうか。ここが見通せないときは、いま引き受けることと、継承者を立てない形に切り替えることを、並べて検討したほうが話が早く進みます。

継承者を立てない供養の形

お子様やお孫様がいない場合、遠方に住んでいて通えない場合、子や孫に負担を残したくない場合には、継承者を前提としない供養の形があります。代表的なものが永代供養です。寺院や霊園が、ご家族の代わりにご供養を続けていく形をいいます。

選ぶときに見ていただきたいのは、次の四点です。

  • 個別に安置される期間があるか。 最初から他の方々と一緒に納める形(合祀)か、一定の年数は個別に安置してから合祀するのかで、費用も、お参りの感じ方も変わります。
  • 申し込みのあとに続く費用があるか。 年ごとの会費が必要かどうか、必要ならいくらか。総額を出すときに効いてきます。
  • 誰と一緒に納められるか。 ご夫婦だけか、ご家族以外やペットも可能か。ここは施設によってかなり違います。
  • お参りできる時間と行きやすさ。 ご自身が通う場所ですから、交通と時間の条件は最初に確かめておくとよいところです。

形の違いと費用の見方については、永代供養とは?わかりやすく、初めての方へ費用と流れを知る、個別安置と合祀の選び方については永代供養の合祀との違いと個別安置、迷ったときの選ぶ順序でも書いております。和歌山で見比べておられる方は永代供養を和歌山で比べるとき、形の違いと費用の見方が分かりますもあわせてご覧ください。

当山でお受けしているご供養と費用

個別安置の期間と合祀までの流れを示した図

当山(和歌山市新堀東の覚王山 妙宣寺)は日蓮宗の寺院で、寛永年間(1624〜1644年)の創立と伝えられています。継承者のことでご相談に来られる方には、次の区分からお選びいただいています。宗旨・宗派・国籍は問いません。他宗派の方も、国籍の異なる方もお申し込みいただけます。

ご供養の区分 個別に安置する期間 供養料 付くご供養
永代供養 10年 15万円 毎月の命日のご供養とお彼岸・お盆のご供養が付いております。お骨は10年間は個別に安置し、その後合祀します。
永代供養(年忌供養付き) 17年 23万円 お彼岸とお盆の施餓鬼供養(せがきくよう。多くの霊にお供えをして回向するお勤め)、ご命日と各年忌のご供養
永代供養(年忌供養付き) 33年 33万円
永代供養(年忌供養付き) 50年 50万円
合祀供養 なし(すぐに合祀) 5万円 過去帳に記してご供養
のうこつぼ(集合型の納骨墓) 期間はご自身で決められます 一室50万円から(管理費(護寺会費)年3,000円) 期間ののち永代供養塔でご供養

供養塔への刻銘は1枚3万円です。のうこつぼの管理費(護寺会費)(年3,000円)を除き、お申し込みのあとに年会費・寄付金・管理費はいただいておりません。費用を抑えられているのは、ご供養の形を昔ながらのシンプルなものにしているためです。

のうこつぼについて

のうこつぼは、永代供養が付いた集合型の納骨墓です。お骨の大きさや数に制限はなく、一室の費用はお一人でもご家族でも同じです。血縁を問いませんので、ご家族以外の方とご一緒でも、ご友人同士でも、ペットとご一緒でもお納めいただけます。墓石を建てる必要がなく、お手入れもいりません。跡継ぎのおられない方の場合も、期間が終わったあとは当山の永代供養塔でご供養を続けます。

納めたお骨には月命日にお読経をあげ、日々のご回向(えこう。お経やお題目の功徳を故人やご先祖様に振り向けること)を欠かしません。お参りの時間は制限しておらず、お花・お菓子・飲み物など、好きなものをお供えいただけます。境内はバリアフリーに配慮しており、車椅子でもお参りいただけます。駐車場は25台、和歌山バス「堀止」から東へ徒歩約5分です。

いま建っているお墓を、どうするか

継承者を立てない形に切り替える場合、すでにあるお墓は墓じまい(お墓を片づけ、ご遺骨を別の場所へ移すこと)をすることになります。ご遺骨を移すには、いま納めている墓地のある市町村長の改葬許可が必要です(出典:墓地、埋葬等に関する法律第5条)。石材の撤去や行政手続きの代行は当山では行っておりませんので、石材店と墓地の管理者にご相談いただく流れになります。

当山でお受けしているのは、墓じまいのあとのご供養です。ご先祖様の永代供養が1家分20万円、納骨のみが10万円です。手続きの順序と費用の内訳は、墓じまいと永代供養の違い|初めての改葬手続きと費用の内訳でも整理しております。

生前に決めておくときの進め方

継承者のことは、ご本人が元気なうちに決めておかれるほうが、話が少なくて済みます。当山では永代供養の生前のご相談・ご契約もお受けしています。順序としては、次のように進めていただくとまとまりやすいです。

  1. いま納めているご遺骨と、これから納める方の人数を書き出す。
  2. 永代供養の方法について決めておく。
  3. ご親族に伝え、意見の違いがあれば理由まで聞いておく。
  4. 見学や相談で、お参りの行きやすさと総額を確かめる。
  5. 決めた内容を、書面とご親族への言葉の両方で残しておく。

お参りに行けない年のご供養の考え方は、お彼岸のお墓どうする|行けない年の供養と段取りが分かりますもご参考になるかと思います。

当山のご相談・見学は受付7:00〜18:00、お電話(073-422-7968)かフォームでお申し込みください。ご供養と人生相談は予約制です。住職が他の勤めに出ていることがありますので、お越しになる前に一度お電話をいただけますと確かです。どの形にするか決めていない段階のお話でも構いません。

よくあるご質問

お墓の継承者は、長男でなければいけないのでしょうか。
法律では長男に限られていません。民法第897条は、系譜・祭具・墳墓の所有権は被相続人が指定した者が承継し、指定がないときは慣習に従い、慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定めると規定しています。指定があれば、長男以外のご家族や、親族以外の方が引き受けることもできるとされています。ただし墓地の使用規則で承継できる範囲が定められている場合がありますので、実際に手続きを進めるときは、その墓地の管理者に規則を確かめてください。
継承者がいないと、納骨を断られることはありますか。
継承者を前提としない供養の形であれば、継承者がいないことを理由にお断りすることはありません。和歌山市の覚王山 妙宣寺では、永代供養(10年間個別に安置する永代供養15万円、年忌供養付き17年23万円・33年33万円・50年50万円)と、のうこつぼ(一室50万円から、管理費(護寺会費)年3,000円)をお受けしており、お墓の後継者がおられない方からのお申し込みも承っています。納骨のみの合祀供養は5万円です。宗旨・宗派・国籍は問いません。
永代供養を申し込んだあと、年会費や寄付金はかかりますか。
覚王山 妙宣寺(和歌山市新堀東)の場合、のうこつぼの管理費(護寺会費)(年3,000円)を除き、お申し込みのあとに年会費・寄付金・管理費はいただいておりません。供養塔への刻銘をご希望の場合は1枚3万円が別途かかります。ほかの寺院や霊園では続く費用の有無が異なりますので、総額を比べるときは、最初に納める額とあとから続く額を分けて書き出してみてください。
家族以外の人と同じ場所に納めることはできますか。
施設によって扱いが違います。覚王山 妙宣寺ののうこつぼでは血縁を問わないため、ご家族以外の方とも、ペットともご一緒にお納めいただけます。お骨の大きさや数に制限はなく、一室の費用はお一人でもご家族でも同じです。ご友人同士、おひとりで暮らしておられる方同士でのお申し込みもお受けしています。
一度納めたご遺骨を、あとで返してもらうことはできますか。
覚王山 妙宣寺では、納骨堂に安置している間は、それぞれの年数が終わるまでご遺骨をお返しできます。合祀してほかの方々と一緒に埋葬したあとは、お返しすることができません。将来ご遺骨を移す可能性が残っているときは、個別に安置する期間のある区分をお選びいただくか、ご相談のときにその見込みをお話しください。

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